バナー

熊本地震の木造被害、築年別被害に顕著な差

建築研究所は、令和8年7月28日に発生した熊本県熊本地方を震源とする地震(M7.1速報値)を受け、最大震度7を観測した熊本県宇城市や氷川町周辺の木造建築物を対象とした現地被害調査を実施し、速報を取りまとめた。

調査結果によると、築45年超の旧耐震基準期以前の木造住宅や社寺建築に倒壊・1層崩壊(複数階建の建築において、特定の階だけが潰れるように崩壊すること)などの甚大な被害が集中した一方、比較的新しい木造住宅や学校などの築浅施設では外観上大きな被害は見られず、建築年代による被害の差が顕著にあらわれている。

各調査地域における具体的な被害状況の詳細は以下の通りである。

氷川町 鹿島地区

県道14号線沿いの北側に位置する鹿島地区は、明治・大正時代からの家屋が多く残る集落である。この地区では築45年超と推定される木造建物で倒壊が確認された。倒壊した住宅の内部には長年未使用とみられる家具が残されており、空き家状態であった物件も含まれていた。一方で、最近建てられた建物や改築された建物では倒壊は見られず、外壁サイディング目地の亀裂やカーポートの変形など軽微な被害にとどまっている。

八代市 鏡町鏡村地区

鹿島地区の南側に位置する鏡町鏡村地区では、建物の構造や築年数により被害状況が大きく分かれた。築45年超と推察される建物では、土壁や釘打ち筋かいのみの使用、基礎の低さなどが要因となり多数の倒壊が発生した。1層(1階)の崩壊、大きな残留変形、外壁下地や躯体の露出などが確認されている。他方、同等に古い建物であっても軽微な損傷にとどまる例が存在したほか、築年数が浅い住宅ではサイディング目地の切れ程度で倒壊は確認されなかった。また、2021年竣工の学校施設も目立った損傷は見られなかった。

氷川町 島地地区

震度7を計測した氷川町役場周辺の島地地区では、築45年超と推定される住宅の倒壊が多数発生したほか、2階(二層)部分に大きな被害が生じる事例が確認された。過去の平成28年熊本地震で被害を受け、その後に増改築を行った築80年以上の木造住宅が倒壊(増築部分の崩壊を含む)した事例も報告されている。さらに地盤変状等に伴う墓石の転倒などが確認された一方、外観上無被害の中規模木造建築物も存在していた。

氷川町 宮原地区

日奈久断層に近く、伝統的な家屋や商店が多く立ち並ぶ宮原地区では、他地区と同様に築45年超と推定される木造建物で倒壊や正面開口部の著しい損傷が相次いだ。構造体の被害に加え、築約10年の増築車庫が大きく傾斜して「危険」と判定された事例や、小庇(こひさし)の落下、外壁材の脱落などが確認された。

八代市 本町地区・萩原町地区

八代城跡近くで社寺が多い本町地区と、八代駅前で商店が並ぶ萩原町地区においても甚大な被害が報告された。築45年超と推定される建物の1層崩壊、3階建て木造住宅の倒壊、2階建て住宅・店舗の倒壊、建物の傾斜や外壁の割れ・ずれが確認された。また、歴史ある社寺建築では建物の倒壊や全体的な横ずれ・傾斜、肘木(ひじき)・枡の脱落、礎石から約50cm滑り出すといった被害が発生した。これに対し、築40年前後や比較的新しい住宅・アパート等では、外観上無被害または室内クロス(壁紙)のひび割れ程度にとどまるものが大半であった。