国土交通省は令和9年度の予算概算要求を公表した。一般会計の総額は8兆7694億円となり、対前年当初予算比で1.44倍。住宅局の要求額は4187億円で、同比2.5倍の拡充となった。中でも「住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業」は同比5.51倍と大幅に増加しており、改正建築物省エネ法が国会で成立したことにより、建築物脱炭素の動きが本格化している。
建築物ライフサイクルカーボン削減推進事業
同推進事業の中に含まれている「建築物ライフサイクルカーボン削減推進事業」は、資材製造から施工、使用、解体までの全段階における温室効果ガス排出量を抑える建築物の供給を増やす事業である。新築や改修において、既存躯体の再利用や低炭素建材の採用といった省エネ・省資源・脱炭素につながる工事費用を補助する。
優良木造建築物等整備推進事業
同じく、「優良木造建築物等整備推進事業」は、炭素貯蔵効果が見込める中大規模な木造建築物の普及や、先進的な設計・施工技術を取り入れたプロジェクトを支援する事業である。民間事業者などが実施する木造化にかかる調査設計費や建設工事費の一部を補助対象としている。
2050先導型住宅推進事業
同様に、「2050先導型住宅推進事業」は、2050年の社会経済情勢等を見据えた良質な住宅ストックの形成等に資する取組を推進することを目的としている。次世代の課題解決に向けて取り組むべきテーマを設定し、そのテーマに沿った先導的な取組への支援を強化するものだ。
背景には、2050年を見据えた住宅政策の方向性を定めた住生活基本計画(全国計画)が本年3月に閣議決定されたことや、建築物分野においても2050年を見据えた中長期的な計画の年度内取りまとめに向けた議論が進められている状況がある。また、住宅・建築生産分野では、中長期的に住宅・建築生産プロセスにおける担い手不足を解消するための新たな担い手の育成、既存ストックの活用、サーキュラーエコノミーへの移行といった新たな取組が必要とされている。こうした先導的な取組の実施には一定のコストを要するものの、取組による効果を検証・整理し消費者へ提示することを通して、普及が進むことが見込まれている。
具体的な要求内容としては、取組テーマに「レジリエンス性の向上」を設定するほか、次世代の課題解決に向けたテーマを設定する方針が示されている。テーマの例として挙げられている「新たな担い手の確保」では、建築に携わる各専門主体が地域住民との間で知識や経験等を共有し、住民自らが小規模リフォームの主体として自立的に活動できる環境づくりや文化づくりに貢献するモデル的な取組を支援する。
この枠組みにおいては、工務店が地域住民に工事の技術や手順を提供し、大規模リフォームの依頼や入職者の増加につなげるとともに、ホームセンターから専用工具や資材を供給し継続的な物品購入機会を生み出す構造が描かれている。また「サーキュラーエコノミーへの移行」の例としては、今後の多様なサーキュラーエコノミーの実践に向け、リサイクル・リユース・リニューアブル部材等を積極的に活用するためのモデル的な取組を支援する。これには、新築時や改修時にリニューアブル部材を供給し、解体時に排出される廃材等のマテリアリサイクルを行ってリサイクル部材やリユース部材として再利用する循環プロセスが含まれている。


