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部分断熱改修は体験の入口に 「仕方なく」から「次の受注へ」

老舗のハウスメンテナンス企業が東京都内の展示会で、部分断熱改修が翌年の全面施工につながった事例を発表した。これは、部分改修の扱い方が変わりつつあることを示している。昨年末には建築士会連合会が、既存住宅の断熱改修において「部分的な施工も積極的に進めるべき」旨を発表しており、部分改修が現実的な選択肢として位置づけられつつある。これまで部分施工は、予算や生活事情から“やむを得ず選ぶもの”とされてきたが、実際の現場では別の価値が生まれている。

ある住まい手は、まずよく使う部屋だけを部分施工し、冬を越して効果を実感したうえで、翌年に残りの全面施工を依頼した。断熱の効果は説明だけでは伝わりにくく、住まい手が自宅で変化を体感することが最も強い説得力を持つ。部分施工はその体験を低いハードルで提供できるため、次の受注につながる流れをつくりやすい。部分断熱改修は、従来の「仕方なく行うもの」から、効果を実感してもらうための営業プロセスとして機能する可能性がある。

一方で、断熱建材メーカーの多くは、リフォーム市場に積極的ではないケースが多い。新築向けに比べて利益率が低く、施工条件も複雑で、効率的な販売が難しいという事情がある。しかし、別の見方をすれば、部分断熱改修はメーカーにとっても新しい市場の入口として十分な可能性を持ち得る。部分施工をきっかけに住まい手が断熱の価値を理解すれば、翌年以降の追加施工や関連商材の需要が生まれる。単価は小さくても継続的な受注につながる可能性があり、リフォーム市場を広げる手段として捉えることができる。

部分断熱改修は、住まい手にとっては導入しやすく、施工側にとっては次の提案につながる。メーカーにとっても、断熱リフォーム市場を拡大するための現実的な入口となり得る。部分施工の扱い方を変えることで、断熱改修の営業はこれまでよりも明確な流れを持ち、継続的な需要を生み出す可能性が高まると考えられる。